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後見人とは

梶田 涼子 / 更新:2026-06-20
親が認知症になって、銀行から「ご本人でないと手続きできません」と言われた——そんなとき名前が出てくるのが「後見人」です。結論から言うと、後見人とは判断能力が不十分になった人に代わって、財産管理や契約などを法律的に支える人のことです。私自身、父の成年後見申立てを経験し、制度の入口でかなり戸惑いました。
  • 後見人とは、認知症や障害などで判断能力が不十分な人を法律的に支援する人を指す。
  • 成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」の2種類がある。
  • 法定後見は本人の判断能力が落ちた後、家庭裁判所に申立てをして始まる。
  • 任意後見は本人が元気なうちに、将来の後見人を自分で決めておく制度。
  • 後見人は選任後、原則1か月以内に財産目録などを家庭裁判所へ提出する。

後見人とはの結論

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後見人とは、認知症・知的障害・精神障害などで判断能力が不十分になった人の権利を守るため、本人に代わって財産管理や身上保護を行う人のことです。

この支援の仕組みを「成年後見制度」と呼びます。本人の財産を勝手に使われないよう守ったり、必要な契約を本人の代わりに結んだりします。

後見人は、本人の財産管理や身上保護を行い、必要に応じて本人の代理や契約の取消しもできます。たとえば訪問販売で不要な契約をさせられた場合、後見人がその契約を取り消せる、というのが分かりやすい例です。

制度には大きく2つの入口があります。判断能力が落ちた「後」に始める法定後見と、判断能力があるうちに「前もって」備える任意後見です。

法定後見と任意後見の違い
項目法定後見任意後見
始まるタイミング判断能力が不十分になった後判断能力があるうちに契約
後見人を決める人家庭裁判所本人が自分で選ぶ
手続き家庭裁判所に申立て公正証書で契約
効力の発生審判で開始家庭裁判所が任意後見監督人を選任してから
後見人とは「判断能力が不十分な人に代わって財産や生活を法律的に支える人」のこと。すでに認知症が進んでいるなら法定後見、これからの備えなら任意後見、と入口が分かれます。

成年後見人等の選任方法

成年後見人は、本人や家族などが家庭裁判所に申立てをし、家庭裁判所が選任します。

法定後見は、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所へ申立てをして開始する制度です。申立てができるのは本人のほか、家族などです。

正直に言うと、ここが一番ハードルを感じる部分でした。父のときも、誰が後見人になるかは申立てした側の希望どおりにはならない、と事務所で何度も説明した記憶があります。最終的に決めるのは裁判所です。

任意後見の場合は流れが違います。本人が判断能力のあるうちに任意後見人を自分で決め、公正証書で契約を結びます。ただし契約しただけでは始まりません。判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任してはじめて効力が生じます。

任意後見人は、未成年者や行方不明者などを除けば自由に選べます。信頼できる家族や知人を指定しておけるのが任意後見の良いところです。

成年後見人等に選任されたら

成年後見人等に選任されたら、原則1か月以内に本人の財産と生活状況を確認し、財産目録と収支予定表を家庭裁判所に提出します。

この最初の作業がとにかく大変です。通帳、保険証券、不動産の権利証、年金額の分かる書類——本人の財産を一つひとつ洗い出していきます。

私が父の件で手こずったのも、まさにここでした。どこの銀行に口座があるか家族でも全部は把握しておらず、通帳を探し回ることになりました。心当たりのある金融機関や保険会社は、早めにリストアップしておくと楽です。

選任後の最初の山場は「財産目録と収支予定表の提出」。原則1か月以内という期限があるので、就任が決まったらすぐ財産の確認に取りかかってください。

注意するべき事柄

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後見人は本人の財産を「本人のために」管理する立場であり、自分や家族のために使うことはできません。

後見人ができるのは、あくまで本人の利益を守る行為です。本人の代理や、本人に不利な契約の取消しはできます。一方で、本人の財産を家族の生活費に回したり、相続税対策のために贈与したりといった行為は、原則として認められません。

ここは家族が後見人になったときに一番つまずきやすいところだと感じています。「親の財産なんだから」という感覚と、制度上のルールがぶつかるからです。本人の口座と自分の口座は、はっきり分けて管理してください。

判断に迷う場面では、家庭裁判所や後見を監督する立場の人に相談しながら進めるのが安全です。自己判断で動かないことが、結果的に自分を守ります。

後見等事務の報告について

後見人は、就任直後の初回報告に加え、その後も定期的に後見事務の状況を家庭裁判所に報告します。

報告の中身は、本人の財産がどう変わったか、収入と支出はどうだったか、本人の生活や健康の状況はどうか、といった内容です。日々の入出金や領収書を、こまめに記録しておくと報告のときに困りません。

私が補助者として案件に関わっていたとき、報告でつまずく方の共通点は「記録を後回しにすること」でした。レシートを月ごとに封筒に分けるだけでも、後の負担がまるで違います。

成年後見人等の報酬について

後見人の報酬は、家庭裁判所への申立てにより、本人の財産から支払われる形で決まります。

金額は家庭裁判所が、本人の財産額や後見事務の内容を踏まえて判断します。具体的な報酬額は事案ごとに異なるため、一律の金額は決まっていません。

正直、ここは「いくらになるか事前にぴったり分からない」のが実情です。確実な金額を知りたい場合は、申立てを相談する司法書士や弁護士に、似た事案の目安を聞くのが現実的だと思います。本記事では確認できない数字には触れません。

住所変更等をした場合

後見人とは?どういう人?誰がなれる?【成年後見制度をわかりやすく】
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本人や後見人の住所などに変更があった場合は、登記の変更手続きや家庭裁判所への届出が必要になります。

成年後見の内容は法務局に登記されています。後見人が引っ越したり、本人が施設へ移ったりして住所が変わると、その情報を最新の状態に保つ必要があります。

放置すると、後で本人の手続きをする際に登記事項証明書の内容と実態がずれ、余計な手間になります。変更が起きたら早めに動くのが結局いちばん楽です。

成年後見人等の仕事の終了後の手続について

後見人の仕事は本人の死亡などで終了し、その後は財産の引き継ぎなどの清算手続きを行います。

後見は本人が亡くなれば終わります。ただし「終わったら何もしなくていい」わけではありません。それまで管理してきた財産を、相続人へ引き継ぐ作業が残ります。

最後の収支をまとめ、家庭裁判所へ報告したうえで、相続人に財産を渡す。ここまでやって、ようやく後見人としての役割が完結します。

成年後見人等の仕事の終了の手続

後見終了後は、終了の登記申請と、家庭裁判所への最終的な報告・財産の引き継ぎをもって手続きが完了します。

本人が亡くなった場合、後見の終了について登記の手続きが必要です。あわせて、管理財産の収支計算をまとめ、相続人へ引き継ぎます。

父のケースを振り返っても、終了時の事務は地味ながら漏れやすい部分でした。終了の登記、最終報告、相続人への引き渡し——この3点は早めに段取りしておくと安心です。

成年後見制度(後見・保佐・補助)の概要を知りたい方へ

【成年後見制度】本人の知らない間に?財産管理や住む場所まで変えられる?家族分断も?トラブルの実態は |アベプラ
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法定後見には「後見・保佐・補助」の3つの類型があり、本人の判断能力の程度によって使い分けます。

どの類型になるかは、本人の判断能力がどのくらい残っているかで決まります。判断能力がほとんどない場合は「後見」、不十分な場合に「保佐」「補助」が使われる、というイメージです。

法定後見の3類型のイメージ
類型対象となる本人の状態
後見判断能力が欠けているのが通常の状態の人
保佐判断能力が著しく不十分な人
補助判断能力が不十分な人

自分の家族がどの類型に当たるのかは、申立て時に医師の診断書なども踏まえて判断されます。迷ったら、まずは制度の窓口や専門家に相談するのが近道です。

1.成年後見制度(後見・保佐・補助)の概要を知りたい方へ

制度の全体像をまず知りたい方は、公的な解説をひととおり読むのが結局いちばん確実です。

裁判所や厚生労働省は、本人・家族向けに制度の概要をまとめたページを公開しています。後見人の役割、申立ての流れ、必要な書類などが整理されています。

私の率直な意見としては、ネット記事で雰囲気をつかんだ後、最終確認は必ず公的サイトと専門家で行うのがおすすめです。費用や期間は事案ごとに違うので、自分のケースに当てはめて聞くのが一番早いからです。

制度の入口で迷ったら、まず裁判所・厚生労働省の解説で全体像をつかみ、自分のケースの具体的な費用・期間は司法書士や弁護士に相談する。この二段構えが遠回りに見えて最短です。

よくある質問

最後に、後見人について多く検索される質問にまとめて答えます。

よくある質問

後見人とはとは?
後見人とは、認知症・知的障害・精神障害などで判断能力が不十分になった人に代わって、財産管理や身上保護を行い、必要に応じて本人の代理や契約の取消しをする人のことです。この仕組みを成年後見制度といい、法定後見と任意後見の2種類があります。
後見人とはの費用は?
費用は申立てにかかるものと、後見人への報酬に分かれます。後見人の報酬は家庭裁判所が本人の財産額や事務内容を踏まえて決め、本人の財産から支払われます。金額は事案ごとに異なるため一律ではなく、具体的な目安は申立てを相談する司法書士や弁護士に確認するのが確実です。
後見人とはの始め方は?
すでに判断能力が不十分なら、本人や家族などが家庭裁判所に申立てをして法定後見を始めます。まだ判断能力があり将来に備えたい場合は、任意後見人を自分で決めて公正証書で契約を結び、判断能力が低下した後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任してから効力が生じます。

後見の入口は手続きが多くて気が重いものですが、最初の一歩は「本人の財産がどこにあるか書き出すこと」と「公的サイトで全体像を読むこと」です。そこまでやれば、相談に行ったときの話がぐっと早く進みます。

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梶田 涼子

元司法書士事務所勤務(補助者として後見申立て案件に10年以上関与) ・ ファイナンシャルプランナー2級(相続・資産管理分野)
司法書士事務所勤務歴10年以上

司法書士事務所での補助者経験と、自身の父親の成年後見申立てを経た実体験をもとに、制度の仕組みから費用・期間・手続きの流れまでを一次情報に当たりながら書いています。専門用語を使わず、今すぐ動けるレベルまで噛み砕くことを心がけています。

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